月刊EMC

EMC対策・設計とノイズ対策の基礎

なぜノイズ対策が必要か

ノイズといえば雑音と認識する人が大部分ですが、ノイズには『音波のノイズ』と『電波のノイズ』があります。

月刊EMCは電波関連でのノイズ対策技術を専門に掲載しています。

数十年前に工作機械に挟まれた死亡事故が発生し、労災認定の裁判で初めて電波のノイズによる事故と認定されました。天井のホイストからの火花放電による事故だったのです。ノイズは通信障害から生命財産に関わる問題まであり、しっかりとノイズ対策をする必要があります。

今や自動運転、ドローン、サービスロボット、IoTシステムによるビックデータなど、センサシステムとノイズ対策は大きな課題です。一度、事故が発生すれば生命財産問題と拡大し、リコール発生など企業ブランドへの大きなダメージとなります。

これからのリコール予防対策技術としてもノイズ対策が必須となっているのです。

また、カットアンドトライで対策していた昔は設計段階でのノイズ対策を考慮せず製品化後に対策することが多く、不完全な対策技術・対策部品・材料で行われることが多かったのが実情です。

現在は設計段階からノイズ対策を考慮し製品化していますが、それでも障害・事故は発生することがあります。

ノイズ対策を効果的に実践するには、設計・対策部品などあらゆる面からアプローチし、リスクマネジメントをする必要があるのです。

EMC設計とノイズ対策

月刊EMCとは」で記述している通り、EMCとは電磁両立性を示します。
つまり、

  • EMI対策(エミッション対策)
  • イミュニティ対策(EMSを高める対策)

を両立させる設計がEMC設計です。
これを業界内では『ノイズ対策』と呼称することがあります。

EMI対策とは

EMIは【Electro Magnetic Interference】の略です。
エミッション対策とも呼ばれ、直訳すると【電磁妨害】となります。つまり他の機器に影響を及ぼさないように、発するノイズを抑制することをEMI対策と呼びます。

イミュニティ対策とは

イミュニティとはEMSのことを指し、【Electro Magnetic Susceptibility】の略です。
直訳すると【電磁感受性】となります。つまり他の機器がノイズを発生した場合でも、その影響を最小限に留めることをイミュニティ対策と呼びます。

EMC設計とは

上記2つの『EMI対策』と『イミュニティ対策』を両立させた設計を『EMC設計』、もしくは『EMC対策』と呼びます。
世界各国ではある一定の基準(EMC規格・EMI規格)を設け、製造する電子機器等が一定レベルのEMC設計を行う事を必須にしています。

国内・国外のEMC規格・EMI規格

EMCに関わる規格は主に次のものがあります。

  • 『国際規格』『各国規格』『団体規格』『社内規格』

具体的には下記の表のとおりです。

規格の種類 規格名称
国際規格 IEC(国際電気標準会議)、CISPR(国際無線障害特別委員会)等
各国規格 JIS(日本)、FCC(米国)、CENELEC(EU)、ETSI(EU)、DIN(ドイツ)等
団体規格 VCCI(日本)、VDE(ドイツ)等
社内規格 各メーカが独自に定める規格等

上記の規格はほんの一部であり、規格にも【製品規格】【製品群規格】【一般規格】【基本規格】などの種類があります。
製品設計では、常にこのような規格の最新内容に対応した設計が求められています。ただでさえ改正がつきものの【規格】ですが、その上これだけの種類があるとその内容を設計へ反映することも容易ではありません。

月刊EMCでは最新の規格動向をわかりやすく解説し、エンジニアの方々が設計に活かしやすいように掲載しています。

部品でのノイズ対策

ノイズ対策を施すには、対策部品と呼ばれる様々な部品を使用します。

▽フィルタを用いるフィルタリング
例:コンデンサ、EMI除去フィルタ、フェライトコア、コモンモードチョークコイル、等々
▽シールド材を用いたシールディング
例:ケーブルのシールディング、シールディングテープ、電磁波吸収シート、電磁シールド材、磁気シールド材、等々
▽グランドをとることでノイズ対策するグラウンディング
例:ストラップ、クランプ、等々

月刊EMCではEMC対策部品を毎年掲載しております。

各メーカの最新部品はもちろん、各部品の仕様などを比較しやすいよう掲載。
それにより製品に最適なノイズ対策部品をお探し頂くことが可能です。

ノイズ対策後の試験

製品が規格を満たしているか、どの程度のノイズを発生しているか等を測定することができる施設を『EMC試験サイト(EMCテストサイト)』と呼びます。

製品の最終段階に位置する作業であり、試験がうまくいかなければ設計の段階からやり直す可能性も出てくるという非常に重要なものになります。

日本国内には様々なEMC試験サイトがあり、それぞれの試験所には特色があります。
対応している規格、備えている設備、在籍するEMCエンジニア、等々、自社に合った試験所を選定することが望まれます。

月刊EMCでは日本全国のEMC試験所を毎年掲載しております。

試験所の仕様などを比較しやすいよう掲載。
それにより自社・製品に合った試験所をお探し頂くことが可能です。

EMCエンジニアの資格

EMCエンジニアには国際的な資格制度があります。
それは『iNARTE』と呼ばれるもので、米国を拠点とする団体iNARTEが、1988年に創設した国際資格です。日本国内にはおよそ1,000名の有資格者おり、唯一のEMCエンジニアの資格となっています。

非常に難易度の高い資格と言われていますが、資格を保持することで自身の高いスキルを証明することが可能になります。

当社が発行する『EMC概論演習』はiNARTEの資格取得を最大限サポートすることが可能な書籍です。

EMC対策・ノイズ対策の参考書

ここではEMC対策・ノイズ対策を行うにあたって参考となる書籍を何点かご紹介します。

EMC原理と技術

EMC原理と技術まさにEMCの原理と技術を網羅した成書です。
製品設計に関わるEMC技術を学びたい方にはオススメの一冊。

EMCシミュレーション 設計技術マニュアル

EMCシミュレーション 設計技術マニュアルEMCシミュレーション(電磁界シミュレーション)を実践的で、わかりやすく、事例を散りばめた本書。
様々なパターンを掲載することで、EMCシミュレーションを使いこなすことを可能にします。

初めて学ぶ電磁遮へい講座

初めて学ぶ電磁遮へい講座その名の通り電磁遮へいの入門書。
平面波伝搬から、損失媒質、遮へい材料、遮へい評価法など電磁波工学、電気工学の専門でない方にもわかりやすく掲載。

電磁障害/EMI対策設計法

電磁障害/EMI対策設計法EMI対策・ノイズ対策に関して、対策部品の選定方法から、使用時の留意点、対策のメカニズムなど、現場のエンジニア目線で書かれた本書。
対策部品で行うEMI対策・ノイズ対策を実践的にまとめています。

その他、EMC対策・ノイズ対策関連書籍は下記をご覧下さい。 <ノイズ対策/EMI設計 書籍特集>


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